2008-01-25

企業経営のあり方:ISO26000(SR社会責任)

今日は、企業経営に関するセミナーに参加してきました。

っと言って、経営者だけでなく、一般の社員はもちろん、これから就職活動をする方も、参加する意義のある内容でしたのでレポートします。


総括:タイトル「消費者と企業との信頼関係の在り方~CSRの視点から~」。

目標近年、消費者が高い関心を持っている企業が社会に対して果たすべき役割と責任のあり方と、国の府省等の評価基準や国際規格化など各方面で取り組まれているCSR(企業の社会的責任)、ステークホルダー(利害関係者、とりわけ消費者)との対話を通じどのようにして信頼を得ていのかといったテーマのセミナーでした。

まず、CSRに関するものがSR(社会責任)という定義され、今後2010年にISOの規格ISO26000として公開されるということをセミナーで伺い、国際的にもCSRの重要性が高まっていることが理解できたのが収穫でした。

今後国際的なビジネスを展開するか否かにかかわらず、企業・組織として、事業としてISO26000に取り組んでいく必要性があるでしょう。

セミナーの講師の方はCSRに関する委員をされたり、ISO26000の策定に関しても関与されたり、さらには企業の企業倫理委員会もされたということで、企業の現場を良く知り、またそうした現場の実態を踏まえてCSRの内容を具体的にわかりやすく解説していただいた。

また講師の方の書籍を読んだことがあり、事前知識との突合せもでき、大変有意義なセミナーでした。

コンプライアンス(法令順守)の元にコーポレートガバナンス(企業行動規範)が策定している企業も多いですが、社内での行動規範の実践とそれを監視する仕組みを作ることが必要なんだなぁと感じました。

また、今後はステークホルダーに対してその行動規範をオープンにすることで、企業の説明責任や透明性といったことを実現していく必要性がということも企業の活動には必要なんですね。

そして、地域社会からの指示と信頼を得ること無しに、CSRによる会社の社会的責任を果たすことは難しく、社内のコミュニケーションが円滑にできる風通しの良い企業風土を作っていくことも必要なんだそうです。


CSRって何?

まず、CSRって言葉をご存じない方のために、ちょっとだけ解説。

手っ取り早く、Wikipediaをご覧いただきましょう。

CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任) 出典:Wikipedia

まぁ、簡単にお話すれば、
  • ステークホルダー(利害関係者)に対する説明責任を果たすこと(たとえば、会社の財務状況や経営に関する内容の透明性を高めること)
  • 法令順守のもと企業統治を行うこと(リスクマネジメントや内部統制の徹底)
  • 持続可能な社会の実現(環境問題や労働問題に対して組織が自主的に問題解決をすること)
ということを企業が実践していくことになるでしょうか。

※関連用語

現在、「(C)SR」が「ISO 26000」として策定中。

レポートに入る前にもうひとつ。

実は、今回レポートするセミナーのキーワードである「CSR(企業の社会的責任)」が、「SR(社会的責任)」と改められ「ISO 26000」として、2010年11月公開を予定しているんだそうです。

そのワーキングドラフトが公開されています。

このドラフトは策定段階のものであり、結構ボリュームがあるということで、これをベースに内容を簡素化して最終的にISOの規格として公開することになるであろうということで、規格の本質を理解したい人はぜひ現段階の細かい内容まで記載されているものを参照されたほうがよいと、講師の方は話しておられました。

実際に、このISO規格の策定にかかわられている方のお話なので、ぜひ一読してみてください。
そうそう、ISO26000は、ISO9000(品質管理)やISO140000(環境)なんかと違い、マネジメントシステムではなく、ガイダンス規格になるんだそうです。

対象は企業だけでなく、NGO、NPOも含まれるようになるということでした。

つまり、マネジメントシステムの場合は、要求事項があり「これはこうするんですよ。」という風に書かれているんですが、ガイダンスの場合、「こうしたほうが望ましいですよ」という書き方になるそうです。

そして、適合性評価や第三者認証を目的としないそうです。

さらに特筆べき点は、サプライチェーンの組織の責任も一部とされるんだそうです。

たとえば、外注で制作した部品に不具合があっても、それを製品・商品化した最終メーカーがその責任を負うということです。

あるいは、海外に製造を依頼していた場合、仮にその企業で子供が労働していたなんてことになったら、労働条件や社会的保護、あるいは人権問題で責任を問われるということなんだそうです。

ということは、法令遵守はもちろん、行動基準をしっかり守って実践し、さらに監視して不正なことや不祥事、緊急事態が発生しないようチェックする仕組み、体制を作って運用していくことが大事なんですね。


レポート

さて、本題です。

今回は、長文になりそうなので、できるだけ簡単に書いていきたいと思います。

まず、講師の方は、CSRをはじめコンプライアンス経営などの著書を書かれるとともに、関連するさまざまな規格などの策定を行う委員もされており、かつ実際に企業の倫理委員会などにも携わっておられる方で、現場を知らずに規格等の策定するお役所的な方ではなく、実に組織の現場を見て、色々な規格や憲章などの策定に携わっている方で、内容も具体的かつわかりやすい。

しかも、先ほども書いたようにCSRが発展した形で、国際基準であるISO26000のガイダンスの規格策定もされている方なので、現場と今後の組織の向かうべき方向などをわかりやすく説明されていました。


消費者の信頼が企業経営の基本

近年の経済広報センターが毎年「生活者の"企業観"に関する調査報告書」を出されているということで、その調査報告を用いてお話がありました。

「生活者の"企業観"に関する調査報告書」(PDF)

  • (PDF8ページ)企業に対する認識として「商品・サービスの高い質を維持している」ことが重要であるということが1位で、ついで「不足の事態が発生した際に的確な情報を発信している」、「企業倫理が確立され、不祥事がおきにくい」であるという。
    つまり、高い質の商品・サービスの維持は当たり前であり、問題がおきにくく、問題がおきたときは適切な対処ができる企業が望まれているということでしょう。
  • (PDF9ページ)企業の信頼感については特に変化していないという結果がポイント数が上がっており、情報開示が進んでいるためにそうした結果になっているそうです。
  • (PDF10ページ)また、企業が信頼を勝ち得るための重要事項としては、商品・サービスの高い質の維持することが大多数で、企業倫理が確立され不祥事を起こさないこと、あるいは環境問題への取り組みが挙げられているということです。
  • (PDF13ページ)そして企業が重視すべき関係者は、エンドユーザ、従業員となっており、正規雇用に加え準社員に対しても関係性を重視する傾向があるようです。これは、近年の内部告発なんかも踏まえてのことなのでしょうか。
  • (PDF15ページ)商品やサービスを購入する際に重視するのは、やはり質のようで、ついで環境配慮や社会的責任を果たしている企業のものを購入するんだそうです。もちろん、好みの商品やサービスを購入するというのも高い比率であるようです。
  • (PDF17ページ)だんだん核心に迫ってきていますが、企業の不祥事の原因としては、経営者の倫理観や経営方針に問題があるとの回答が多く、経営責任を重視する傾向にあるようです。また、経済競争の激化や消費者の安全意識が高まっているという回答も多く、企業は厳しい環境にあるようですね。
  • (PDF19ページ)不祥事が発覚した後の防止策としては、経営者が先頭に立ち倫理観を正し、法令順守を徹底するという回答が多く、さらに社内教育の徹底や古い制度の見直しを要求する回答が多いようです。
  • (PDF21,25ページ)さらに、企業の報告書を読んだことがあるかとという質問には、あまり読まれていないようで、読んだとしてもあまり関心がないようですね。
こうしてみると、当たり前のことではありますが、やはり消費者に信頼されなければ企業の経営は成り立たないということでしょうか。

加えて、ステークホルダー。とりわけ従業員に対しても信頼関係が必要なのでしょうね。

セミナーの講師の方も話しておりましたが、これまで企業は株主の持ち物、あるいは創業者の持ち物みたいな意味合いが強かったが、社会の持ち物であるということが、こうした調査からも伺えます。


事例紹介:とある企業の不祥事

これは、講師の方が不祥事を起こした企業の倫理委員会の委員として携わったものを事例として紹介しておりました。

ここで話していたのは、不祥事が起きたときの初期対応が遅れたこと(経営トップまで情報が行かなかったこと)、さらに対応が間違ったことが、事故を事件に拡大し、さらに状況を悪化させるということでした。

つまり社内の常識による対応が社会の常識とは異なること、そのギャップに気が付くのが遅かった言うのです。

たとえば、企業内では当たり前のように振舞っていること(賞味期限が切れても食べられるみたいな話)が、世の中から見れば許されることではないということの認識の違いですね。

また、商品やサービスを利用する消費者の安全や健康といった優先すべきことがあるのに、実際に仕事に携わる人たちが、企業経営者や上司の顔色を見ながら仕事をしていることで、不祥事がおきやすいという話もしていました。

これは、製品の欠陥や不具合などといった悪いことを上司に報告することで、自分のリスクが大きくなるという考えの下に報告をしなかったり、情報を隠蔽化したために、結果的に消費者が一番のリスクを受けてしまうというお話ですよね。

それと、ネガティブな情報を一般にも公開したないような事になると、説明責任という点では明らかに顧客の信頼を失ってしまうということです。

それから、経営トップ、あるいは企業体質が起因し、現場と経営陣のコミュニケーションが円滑でないことが露呈することで、より社会からの信頼を失うという結末に向かうんだそうです。

まぁ、この辺は昨今の不祥事のニュースを見ていると納得できるお話です。

そして、万が一不祥事が発生した場合、外部の有識者を招くときは、有名人ではなく、実務の経験者を呼ぶことだそうです。

著名な方は現場からだいぶ離れており、かつ現場をあまり見ない傾向にあるんだそうです。

実際に現場を見てアドバイスなり助言をしてくれる人をお招きするようにとのことでした。


事例紹介:とある企業の企業再生

とにかく、企業の血を入れ替えなければいけないわけですが、根幹から改革するのですから大変ですね。
  • まずは企業理念、ビジョンを見直すことからはじまるっそうです。
  • 企業目標、事業領域、将来の企業像、そしてもっとも重要なのがコーポレートメッセージの策定。
    このコーポレートメッセージ。これは、企業が従業員や株主はもちろん、取引先や金融機関、投資家、さらには消費者といった全てのステークホルダーに対して、企業が社会に対してどのようなものを提供し、社会貢献するのか。それをコミットメント(公約)することが大事なんだそうです。
    たとえ話で、ホームページにコーポレートメッセージが載っていない企業が多いんだそうです。
    トップのご挨拶なんて、何の公約にもなっていないと、はなしておられました。
  • そして、行動基準を作成し、周知徹底と実践をするんだそうです。
    しかも、これを社内だけでなく、社会にも全文を公開することが、これからの企業には必要になると話しておりました。
    つまり、社会に対する説明責任、透明性を実践するということですね。
    こうすることで、なんらかの不祥事が起きたときでも、社会が監視するのですから、企業はきちんと行動基準を実践していくことになるんですね。結果的に継続的に行動基準を実践していくのですから良い状況になるんでしょうね。
  • それから、社内のコンプライアンス(法令遵守)活動をするんだそうです。
    推進体制を整備し、コンプライアンスの研修を策定し、役員・社員に対してアンケートを定期的に実施し、行動基準や法令順守を行う環境を風化させないようにしていくことだそうです。
  • さらに、企業倫理に対する質問などを受け付ける窓口も設置するんだそうです。
  • それから消費者やお客様への対応窓口を設置し、きめ細かく対応し、提案や意見を商品やサービス、製造や流通のプロセスの改善に適応していき、その結果をホームページなどを通して公開していくんだそうです。

企業モラル納崩壊ということで、そうならないためには、
  • 緊急事態発生時に経営者や上層部にマイナスの情報が迅速に報告されること
  • 報告内容が二転三転することがないよう、情報を隠蔽せずに報告すること
  • それからマニュアルが整備されることで、事故や故障の予兆を見逃している場合がある
  • そのためにも年配の方の知恵やノウハウを活用し、予防する手段を講じること
  • そして、経営陣の真摯な謝罪表明を適切なタイミングで行うことだそうです。

行動基準を策定する際のポイント

これは、私も同感なんですが、企業の行動基準って行動別のカテゴリで書かれているんですね。

しかし、講師の方は現場がそれでは利用しにくいので、対象となる相手別に書くか、あるいは相手別にケーススタディや対応の事例集を作ったほうが良いというのです。

行動別だと、どうしても応用が利きにくくなるので、応用問題を作ってどのように対応するのかテストを行ったりするのも効果的かもしれませんね。

それから、顧客第一主義みたいなスローガンに対しても具体的に消費者から苦情や要望などが述べられる手段や仕組みを作ることなんだそうです。

加えて、従業員も同様なんだそうで、個々は人権というキーワードを使っていました。

人権とは、その人の能力が十分に発揮できること、あるいは意見を反映される権利があるんだそうです。

あと、人材の能力が発揮できることということで、国籍や人種、性別、年齢なんかの差別はだめだそうです。


消費者の権利について

消費者の権利については、

http://www.ac.cyberhome.ne.jp/~consumer/page105.html

をご覧ください。


リスク対策は地域や組織内でも

インターネットが普及した現在、組織内や地域に対する企業の取り組みがあっという間に世界に広がるということです。

そうしたことを踏まえて、企業あるいは組織は活動をしていかなければいけないということでしょう。


消費者思考マネジメントシステム

経済産業省が策定されているマネジメントシステムですが、

消費者志向マネジメントシステムの指針
~消費者志向マネジメントシステムNACS基準~
(PDF)

こちらのポイントして、Checkの部分が非常に難しいんだそうです。

倫理委員会が定期的に開催して、問題課題があれば、是正や改善を実施するのですが、形骸化されやすいんだそうです。

そこで、倫理委員会の監査の会議に、品質管理部門や外部のコンサルタントをその会議の監査役として入れると良いとのお話でした。

確かに、その会議の品質を監視するということで、倫理委員会の活動のけん制になるので、なるほどと納得できました。

しかも、外部の人を入れると、組織内では慣例になってしまったような行動も、社会的に見ておかしいようであれば意見して是正、改善を求めるというのは正しい答えだと思います。

それから、マネジメントシステムをPDCAのサイクルで運用するのですが、そのときに必ず改善のスパイラルを起こし、1周目より2周目が改善され、さらに質の高い商品やサービス、業務体制になっていることが重要だとお話されていました。


コンプライアンス経営とCSR経営

企業の継続的な発展には、
  • コンプライアンス(法令順守)経営:体制の構築と実践
  • コーポレート・ガバナンス(企業行動基準):経営の意思決定の透明性と内部統制の構築と徹底
  • CSR(企業の社会的責任)経営:経済・環境・社会のバランス、労働・環境・公正な事業活動などの加地あの推進
が大事なんだそうです。

ちょっと最後のほうが内容が薄いですが、そのうち時間があれば補足します。

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